注入施術

「韓国製のボツリヌス注射は危険」はどこから来た?承認と単位と抗体で読み解く

要点 「」と調べる方へ。製剤が危険かどうかは、韓国製かどうかでは決まりません。差が出るのは、承認を受けた製剤か、何単位をどこに入れるか、前回からの間隔と施術歴です。

ソウル・新沙のシンフォニー皮膚科で撮影した院内の写真

決めるのは、国の規制当局に承認された製剤かどうか、何単位をどこに入れるか、そして前回からの間隔と施術歴です。

国内のクリニックで「効きが落ちてきた」と言われた、知恵袋で「韓国製は効かない」「抗体ができる」と読んだ。そうした断片的な情報を、診察室で実際に使われる言葉に置き換えて、一つずつほどいていきます。

「韓国製」と「アラガン」という言葉が指しているもの

韓国のメーカーが作る同じA型の製剤も、日本ではその製品名でまとめて呼ばれがちです。

知恵袋などで議論が噛み合わないのは、同じ言葉が製品名と施術名の両方の意味で使われているからです。診察で耳にする言葉を先にそろえておきます。

用語 / 意味 / 受ける側にとっての意味
用語意味受ける側にとっての意味
一般名onabotulinumtoxinA(アラガン社)、prabotulinumtoxinA(韓国メーカーの製剤の一つ)など製品ごとに別の名前が付き、別の薬として扱われる
単位(U)製剤の効き目の強さを表す数製剤が違うと、単位どうしを換算できない
複合タンパク毒素の周りに付いているタンパク質製剤によって含む量が異なり、抗体の話につながる
承認国の規制当局が製剤の販売を認めること韓国では食品医薬品安全処(MFDS)が担う

韓国で製造される医薬品は、韓国の食品医薬品安全処(MFDS)の承認制度のもとで扱われます。韓国メーカーの製剤の中には、米国FDAの承認を受けて添付文書が公開されているものもあります(一般名 prabotulinumtoxinA)。「韓国製」というひとくくりの中に、承認の経路も製造方法も違う複数の製剤が入っている、と考えると混乱がかなり減ります。

アラガン製と韓国製の違いは、どこに出ますか

違いが出るのは、製造方法、複合タンパクの量、単位あたりの強さの決め方です。

受ける側が知っておきたいのは単位の扱いです。日本で眉間に何単位打ったという記録があっても、別の製剤で同じ数字を入れれば同じ効き方になる、とは限りません。

つまり製剤を変えるときに起こりやすいのは、「危険」よりも「効き方のずれ」です。前回の製剤名がわかれば、医師は単位を一から組み立て直す手がかりを得られます。単位がどう決まるのかは単位の決まり方とスキン注射との違いを書いた記事で、エラの場合の具体的な入れ方は咬筋のどこに何単位入れるかの記事で詳しく扱っています。

「危険」という声に混ざっている三つの話

「韓国製は危険」という言い方には、成分そのもののリスク、製剤の出どころと管理、打ち方のリスクの三つが混ざっています。

成分そのもののリスクと副作用

FDAの添付文書には、枠で囲んだ警告として、注射した場所から離れた部位に作用が広がる可能性が記されています。飲み込みにくさ、息苦しさ、まぶたの下がり、ものが二重に見える、全身の力が入りにくいといった症状が、注射から数時間から数週間のうちに出ることがある、という内容です。美容目的の量でこうした症状はまれとされますが、出た場合はすぐに医療機関へ連絡します。

よく見られるのは、注射部位の内出血や腫れ、軽い頭痛です。眉間や額では眉やまぶたの下がり、エラでは噛む力が弱くなった感じや左右差が出ることがあります。どれも出方には個人差があります。

妊娠中や授乳中の方、重症筋無力症など神経と筋肉の病気がある方、注射する場所に炎症や感染がある方、以前に同じ成分で強いアレルギー反応が出た方は、一般に施術を勧めないか、慎重な判断が要ります。一部の抗菌薬など、作用に影響する薬もあるため、服用中の薬は名前で伝えてください。

製剤の出どころと管理

承認を受けていない製剤や、どこから来たのか、どう保管され、どう溶かされたのかがわからない製剤は、韓国製でもアラガン製でもリスクがあります。見るべきは製造国ではなく、承認された製剤が正規の流通で届き、医師の管理のもとで使われているかどうかです。

打ち方のリスク

まぶたが下がった、笑顔が不自然になった、というネット上の書き込みの多くは、製剤の国籍よりも、入れた量と深さと位置の問題として説明がつきます。同じ製剤でも、どの筋肉のどこを狙うかで結果は変わります。

韓国製の製剤が

考えられる理由は主に三つです。筋肉の量に対して単位が足りなかった、狙った筋肉から位置がずれた、効果が出そろう前に判断した。抗体による効き目の低下も起こりえますが、まれとされています。

エラの咬筋のように厚く強い筋肉は、眉間の筋肉と同じ感覚の量では動きが残ることがあります。施術の翌日や翌々日に鏡を見て「効いていない」と感じるのは、時期が早すぎることが少なくありません。

もう一つ見落とされやすいのが、しわの種類です。表情を動かしたときに出るしわには働きかけますが、無表情でも刻まれたまま残るしわは、筋肉を止めても浅くなりにくい性質があります。この場合は製剤を変えても結果は大きく変わらず、別の施術との組み合わせを考えることになります。

「おすすめ」の順位でクリニックを選ぶ前に見ておきたい点は、エラの注射で順位より先に見るべきことの記事にまとめました。

クリニック所在地:2F, 165 Dosan-daero, Gangnam-gu, Seoul (Sinsa Hill Building) · Dermatology 2F / Plastic Surgery 4F

韓国製の製剤で抗体ができやすい、というのは本当ですか

抗体ができやすいかどうかを製造国で分ける根拠は、はっきりしていません。中和抗体に関係すると考えられているのは、1回あたりの量が多いこと、短い間隔で追加すること、長い年月にわたる累積の量、製剤に含まれるタンパク質の量です。

実際の判断で効いてくるのは、量と間隔の扱いです。効きが弱かったからといって、短い期間で量を足し続けないこと。エラと額と眉間など複数の部位を同時に打つときは、合計の量を意識すること。複合タンパクの少ない製剤を選ぶという考え方もあります。抗体の心配がある方ほど、前回いつ、どこに、どれだけ入ったかという記録が判断材料になります。

診察室では、何を聞けば判断できますか

聞くのは「どの製剤を使うか」と「何単位を、どこに入れるか」です。シンフォニー皮膚科では日本語の通訳が受付から施術室まで同行し、相談した医師がそのまま施術まで担当するため、質問に答えた医師と注射する医師が同じです。

通訳を介して聞くときは、メモに「製剤名」「単位」「部位」と書いて見せるだけでも、聞きたいことが伝わります。

シンフォニー皮膚科の院内の様子
ソウル江南区のシンフォニー皮膚科

当院は1:1の予約制で、一度に一人の患者さんを個室で診ています。医師は4人で、私はシンフォニーで17年診療を続けてきました。イ・ジェヒョン院長は日本の医師免許を持っています。担当する医師の経歴はシンフォニー皮膚科の医師紹介で、クリニックの概要はシンフォニー皮膚科の日本語サイトで確認できます。

日本から受けに来る前に手元にそろえるもの

手元にそろえたいのは、前回の施術記録と服用中の薬の名前、それに滞在の日程です。前回の施術から日が浅い場合は、その間隔そのものが判断材料になります。

施術記録は、日本のクリニックでもらった明細やカルテの控え、施術時のメモで構いません。製剤名がわからなければ、部位と日付だけでも手がかりになります。服用中の薬は、商品名でも一般名でも、写真に撮っておけば通訳を介して伝えやすくなります。

クリニックはソウル江南区、新沙駅(3号線)8番出口から徒歩約10分の場所にあり、診療は平日10時から19時、土曜10時から17時、日曜と韓国の祝日は休診です。道順はアクセスのページにまとめています。帰国後に、飲み込みにくさや息苦しさなど先に挙げた症状が出た場合は、日本の医療機関をすぐに受診してください。

前回の施術記録があれば、製剤名、単位、部位、日付のどれか一つだけでも、写真に撮ってLINEで送ってください。来院時の相談にお持ちいただけます。

患者さまからよくいただく質問

韓国製の製剤は「効かない」という書き込みを見かけますが、製剤のせいですか?

効かないと感じる理由は、単位が筋肉の量に対して少ない、位置がずれた、効果が出そろう前に判断した、のいずれかであることが多く、製剤の国籍だけでは説明できません。効き目は数日かけて出てくるため、施術直後の印象で判断しないことも大切です。

日本でアラガン製を打っていましたが、韓国製に変えても大丈夫ですか?

前回の製剤名と単位、部位を伝えたうえで、医師が量を組み立て直します。

自分に抗体があるかどうか、検査でわかりますか?

抗体を調べる検査は一般的な美容の診察で行うものではなく、施術歴と効き方の経過から考えることが多いです。抗体が心配な方は、前回からの間隔と合計の量がわかる記録を持参してください。

前回の施術記録が手元にない場合はどうすればいいですか?

製剤名がわからなくても、部位と日付だけで手がかりになります。日本のクリニックでもらった明細やカルテの控え、施術時のメモがあれば、写真に撮ってLINEで送ってください。来院時の相談にお持ちいただけます。

日本語で説明を受けられますか?

日本語の通訳が受付から施術室まで同行し、相談した医師がそのまま施術まで担当します。医師のうちイ・ジェヒョン院長は日本の医師免許を持っています。

参考資料

施術の情報:シンフォニー皮膚科の施術情報(2026.10.16 確認)。

このページはシンフォニー皮膚科による一般的な情報で、診断ではありません。結果・リスク・回復には個人差があります。施術は医師による対面の診察のうえで決まります。 院内と施術の写真はシンフォニー皮膚科で撮影したものです。

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